背徳~薔薇と剣と十字架~ ♂×2 ♀×3 / 白鷹




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所要時間:60分程度
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●登場人物●


シャルル  ♀  17歳  推奨:女性の少年ボイス

    当該国の王太子。
    亡き王妃が国を守る為、全てに性別を偽り王太子としての教育を受けさせた為、父親も女性である事を知らない。
    近年に於いては、自身の体躯の華奢さを気にしてなるべく外交を控え自室にこもる生活をしている
    男性として生きて行く事に様々な支障と精神的な苦痛を感じており、信仰心が厚くなり町外れの教会に通うようになる


カルロス  ♂  19歳

    シャルルの側近兼従僕。
    穏やかで温厚な性格で非常に我慢強い
    産まれは下町で本来は王室にいられる様な身分ではないが、ある事情からできうる限りの伝手を辿りなんとかシャルルの傍に仕える事を許された。
    シャルルには恋慕を抱いているが、忠誠心との葛藤も見られる


シェイラ  ♀  20歳

    町外れの錆びれた教会を預かるシスター
    シャルルが良く利用する教会のシスターで、シャルルの信頼が厚い。
    その実、下町の娼婦の娘で自身も13の頃から体を売り生活を立てていた娼婦。
    シスターなどと呼べる人物ではなく、大変な男好きで乱れた生活をしている。元居た神父は腹上死。

ノエリア  ♀  18歳

    当該国の隣国として位置する軍事国家シャルパンティエ国第一王女
    元々シャルパンティエは当該国領土を欲していたが、温厚な手立てとして第一王女との閨閥をもって同盟締結に至る。
    ノエリアは幼い頃よりシャルルに嫁ぐ事を目的とし、また結果閨閥が破綻した場合に備え兄王太子と同じく勉学武術に励む
    勇ましく高潔な女性。シャルルを心から慕っている

マルコス  ♂  32歳

    ベルモン国の大使、シャンテカイユ卿
    当該国には温厚に事を進めようとしている様装っているが、ベルモン国は既に軍で国を手に入れようとしており臨戦状態にある
    マルコスが国に来たのは国の弱体化を調べる為。
    大変な女好きで、3年前に国に来た時にシャルルを強姦するなどがさつな性格。




役表


シャルル  (♀)・・・
カルロス  (♂)・・・
シェイラ   (♀)・・・
ノエリア   (♀)・・・
マルコス  (♂)・・・



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カルロス  「爛熟した果実が、腐敗して木から落ちる様に、
       歴史を長く綴った国が廃墟と化すのを一体誰に止める事が出来たのだろう」



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シャルル  「全く、どいつもこいつも判らず屋な頑固じじいだ」

カルロス  「おっしゃる通りですね。豊潤なこの国はいつだって近隣諸国から侵略を受けてもおかしくはない」

シャルル  「長年の歴史があるとか伝統が守ってくれるとか神頼みに匹敵する言葉ばかり並べ立てて」

カルロス  「情けなくなるお気持ちはお察しします」

シャルル  「なんとか軍力に予算を割く運びに出来ないだろうか」

カルロス  「今の環境では難しいと思います」

シャルル  「父上もすっかり重鎮どもに籠絡されて腑抜けてしまっている。どうしたものか」

カルロス  「解決を焦っても良策は出て来ないでしょう。
       余り期待されても困りますが、協力的な家臣がいないか私も探ってみます」

シャルル  「済まない、カルロス。お前には気苦労ばかり掛けるな」

カルロス  「何を仰いますやら。幼い頃からシャルル様にお仕えしてきたのです。
       この身がお役にたてるなら本望ですよ」

シャルル  「ありがとう。ところでカルロス」

カルロス  「なんでしょう?」

シャルル  「僕は着替えたいのだが」

カルロス  「あ、これは失礼致しました。
       では私は扉の外で入室されないよう見張っております」

シャルル  「・・・、覗くなよ」

カルロス  「心得ております」

シャルル  「心を許せる男はお前以外にはいない」

カルロス  「勿体ない事を。シャルル様が性別を偽り王太子として立志された事を存じ上げているのは今となっては私一人
       誰にも知られてはならない事実なのですから」

シャルル 「母上が僕の後にでも男児を産める体であったなら、僕は」

カルロス  「仮定の話は意味がありません。もう、王妃様はお亡くなりになっていらっしゃるのですから」

シャルル  「父上ですら男だと思っている。これは僕の業なのかな」

カルロス  「もし、これがあなたの業だとするならば、私は命に代えてあなたをお守りするだけです」

シャルル  「大袈裟だ」

カルロス  「本心です」

シャルル  「僕はこの後教会に行く」

カルロス  「参拝ですね。かしこまりました」



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シェイラ  「毎日、熱心にお祈りを捧げていらっしゃるのですね」

シャルル  「祈り・・・。いや、違うな」

シェイラ  「お祈りではない?では?」

シャルル  「懺悔だよ」

シェイラ  「まぁ、殿下程に国をお思いの方が何を懺悔なさる事がございましょう」

シャルル  「二つ、大きな罪を。懺悔しても許されることの無い罪を犯してしまっている」

シェイラ  「そう、ですか。天は慈悲にあふれています。きっと殿下の罪は許される日が来ます」

シャルル  「・・・、聞かないのか?」

シェイラ  「人の心を知り、悲しみも苦しみも救えるのは神様だけです。
       私が聞いたって殿下の救いにはなりませんもの」

シャルル  「これは、あなた自身が罪深い人だな」

シェイラ  「?!わ、私が罪って?!私、殿下に何かしてしまいましたか?!」

シャルル  「もしも、あなたが僕自身を受け入れてくれるならきっと許されたという事なんだろうな」

シェイラ  「どういう意味でしょうか」

シャルル  「頼みがあるんだ」

シェイラ  「私に出来る事でしたらなんでも」

シャルル  「教会を一度閉めてもいいだろうか」

シェイラ  「・・・、窓を、開けてもいいのなら」

シャルル  「その必要はないよ。僕は」

シェイラ  「女性でいらっしゃるから」

シャルル 「?!」

シェイラ  「随分と前に気付いておりました。物腰の柔らかさや、声質、線の細さ。
       女性でなければ神様は戯れが過ぎます」

シャルル  「・・・」

シェイラ  「扉を閉めましょう。
       人の目には不埒に映ったとして、天は真実をご存知なのですから」

シャルル  「ありがとう」

シェイラ  「どういたしまして。もう、ご自分を偽らなくても大丈夫です」

シャルル  「苦しかったんだ。誰も彼も信じる事が出来ない」

シェイラ  「自らを欺けば、猜疑心は全ての人に向けられますから」

シャルル  「誰か気付いてはいまいか、本当に重鎮はこんな状況で国を守れると思っているのか」

シェイラ  「懺悔は王太子という肩書に感じていらっしゃるのですね」

シャルル  「・・・っ、・・・ぅっ!」

シェイラ  「気付いた時にお伝えするべきでしたね。
       そんなに嘆くほど辛いのなら、もっと早くに泣かせて差し上げればよかった」

シャルル  「心も、体も、バラバラなんだ」

シェイラ  「はい」

シャルル  「どうして自分だけがって、私だって」

シェイラ  「シャルル様はお美しい方でいらっしゃるから神様が嫉妬されたのかもしれませんね」

シャルル  「う、ああぁぁぁぁああん」



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シャルル  「3年前かな。14の時に暴漢に乱暴された。以来ね、私は男性がどうしようもなく怖くて嫌いだけれど、
       そんな大嫌いな男を演じなければならないって、そんな宿命を呪ったよ。
       懺悔じゃないね、きっと願ってたんだ。 私を助けて、って」

シェイラ  「ここでは偽らなくとも大丈夫です」

シャルル  「ねぇシェイラ」

シェイラ  「はい」

シャルル  「偽らなくてもいいと言うならもう一つの懺悔を聞いてほしい」

シェイラ  「はい」

シャルル  「・・・、神に仕える君にこんな俗物的な想いを抱く事が罪だと判っているのに止められない」

シェイラ  「・・・っ」

シャルル  「くす、困った顔をしている。
       あぁ、同性の君に恋慕するのはやはり罪なのかな」

シェイラ  「私には、どう応えていいか判りません」

シャルル  「うん、知ってる」

シェイラ  「私は、この教会を守らねばなりません。
       神父様が老齢で近年枕が上がらなくなってしまいました」

シャルル  「失礼だとは思うけど、その場合新しい神父様が来るんじゃないの?
       教会の仕組みはよく判らないけど」

シェイラ  「この様な町外れの小さな教会ではそれは望めないでしょう。
       この教会を守れるのは、私しかいないのです」

シャルル  「意固地になっているだけではない?」

シェイラ  「シャルル様だってこの国を守れるのは自分だと思っていらっしゃるでしょう?
       私の様な卑しい者が同じ価値観を持つなどと無礼を承知で申し上げます」

シャルル  「私はシェイラを卑しいと思った事は無いけど」

シェイラ  「守りたい物がその手に余り、一つだけ守れるとするなら何を守りますか?」

シャルル  「私は欲深いから、守りたい物も欲しい物も全部手に入れる」

シェイラ  「罪深きことを」

シャルル  「還俗したいと、思った事は無い?」

シェイラ  「・・・、お許しください」

シャルル  「あるんだね?」

シェイラ  「お許しください」

シャルル  「そんなに流暢な言い訳が出て来るほど、君は一体どれだけ悩んでいたの?」

シェイラ  「もう・・・、許して」

シャルル  「泣かないで、シェイラ」

ノエリア  「殿下」

シェイラ  「・・・ぁっ!」

シャルル  「・・・っ」

ノエリア  「この様な寂びれた教会で雑草と戯れるなど、ご自身の評判に関わりましてよ?
       ご身分を弁えて下さらないとわたくしどもの婚約にも支障が出てしまいますわ」

シャルル  「ノエリア」

シェイラ  「婚・・・、約?」

ノエリア  「身の程知らずなシスターに言っておくわ。戯れまでなら許しましょう。わたくしもそれ程了見は狭くないの
       けれど余り無謀な事を考えると言うなら、姦通罪でお身柄の保証は出来かねましてよ?よろしい?」

シャルル  「ノエリア!!」

ノエリア  「本当の事を申し上げただけですわ」

シェイラ  「自分の身分は自分が一番よく存じ上げております。ノエリア様とのご婚約喜ばしく思っております。
       どうぞ、この婚姻に神の祝福のあらんことを」

シャルル  「本気で言っているのか」

シェイラ  「勿論です」

ノエリア  「シャルル様、参拝がお済みなら城に戻りましょう。話したい事があります故」

シャルル  「先に戻っていてくれ。わ・・・、僕は庭園を散歩して帰る」

ノエリア  「ではわたくしもご一緒致しますわ。それではごきげんようシェイラさん」



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シャルル  「どうか、一人にして頂けないかノエリア」

ノエリア  「お断り致しますわ」

シャルル  「何故」

ノエリア  「先程話したい事があると、申し上げましたわ」

シャルル  「なるほど、僕の意志は無視、か」

ノエリア  「ええ、無視です。馬鹿な考え休むに似たり、神に許しを請うより現実をご覧になって戴きたいですわ」

シャルル  「手厳しいな」

ノエリア  「当たり前です。
       婚儀が近付いているにも関わらず郊外のこの様な場所で戯れていらっしゃるお暇があるとは思えませんもの」

シャルル  「その、婚儀については少し話さなければならない、と思う」

ノエリア  「ご意見があるならどうぞ」

シャルル  「あなたと寝所は共に出来ない」

ノエリア  「家臣に怪しまれましょう?」

シャルル  「僕は、あなたを愛せない」

ノエリア  「わたくしもそんな物必要としてはおりません。ですが初夜は済まさねばお互いの国の重鎮が納得は致しません」

シャルル  「その、初夜を迎える事が出来ないんだ」

ノエリア  「二人で部屋に一晩同室するだけで結構。なんなら上等のワインを持って共に飲みましょうか?」

シャルル  「え」

ノエリア  「王家の威信を保ちたいなら家臣の前で鎧を着けその痩躯をお隠しなさい。性別を偽るにはそろそろ難しいでしょう」

シャルル  「何故、知って・・・」

ノエリア  「わたくし以上に殿下の婚姻に相応しい人間はおりませんでしょう?」

シャルル  「・・・っ」

ノエリア  「殿下!どちらへ行かれるのです」

シャルル  「追って来るな!」

ノエリア  「・・・、持って生まれた運命に弓を引く事も出来ない癖に・・・(独り言)」



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マルコス  「貴殿が王太子殿下の狗か」

カルロス  「?!・・・、これはベルモン国の大使殿」

マルコス  「シャンテカイユ卿と呼べ。国は違えど階級は私の方が上だ」

カルロス  「先に礼を失したのはシャンテカイユ卿ではありませんか」

マルコス  「なるほど。礼節を欠いた行為には無礼を働く。実に判りやすく人間味を帯びている」

カルロス  「何の、用でしょうか」

マルコス  「王太子殿下への拝謁を取り次いで貰おうと思ってな」

カルロス  「お断り申し上げます」

マルコス  「事情も理由も聞かず独断と偏見で判断しても良いのかな?」

カルロス  「横柄で礼節を欠いた方を取り次いだとあっては私の信頼に関わります故」

マルコス  「王太子の秘密を私が知っていたとして、その様に撥ね付ける事が出来るかな?」

カルロス  「?!」

マルコス  「ふむ、貴殿が王太子に誓っているのは果たして忠誠か恋慕か、という所か」

カルロス  「どういう、意味でしょうか」

マルコス  「ここまで言っても判らぬとは、貴殿の頭に詰まっているのは泥の塊と見える」

カルロス  「はっきりと言え!何を知っている!!」

マルコス  「おっと、いい顔になったじゃないか。ようやく話が出来そうだなぁ、んん?
       殿下の身体は甘い蜜の様にかぐわしいか?」

カルロス  「貴様・・・!」

マルコス  「さて、この国で知っているのは一体誰なのであろうな」

カルロス  「何故、あなたが知っている」

マルコス  「私はね、3年前にもこの国に来た事があってね。
       その時に些細なイラつきからちょっとした悪戯を働いてしまったのだよ」

カルロス  「いた・・・、ずら?」

マルコス  「そう。出来心なのだよ。この城の裏手に咲く花を手折ってしまったのだ」

カルロス  「花を、手折る?」

マルコス  「そう、凛と咲く花の名はシャルル」

カルロス  「・・・、まさか・・・!」

マルコス  「おや、殿下からは何も聞いてはいない?」

カルロス  「そんな」

マルコス  「貴殿も意外と信用されてはおらぬようだなぁ。私は知っている物だと思っていたよ」

カルロス  「はっきり言え!3年前、殿下に何をした!!」

マルコス  「ふん、今更聞くまでもなかろう。しかし、未熟ではあったがいい身体をしていたぞ」

カルロス  「貴様・・・っ!」

マルコス  「殿下に伝えられよ。このまま謁見に応じないのであれば秘密は守られぬであろう、と。
       では吉報を待っている」

カルロス  「吉報?ふざけるな!貴様をここで始末すれば済む事だ!」

マルコス  「狂犬の様だな。
       ベルモン国の大使である私を一介の従僕が殺したとあればこの国の命運も尽きたというもの」

カルロス  「く・・・っ!」

マルコス  「ふははははは!では王太子殿下にしかと伝えられよ」



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カルロス  「シャルル様」

シャルル  「・・・っ?カルロスどうしたんだ?随分と顔付きが険しいようだが」

カルロス  「先程、ベルモン国大使、シャンテカイユ卿と話をしました」

シャルル  「あぁ、ベルモン国か。大国の奢りか何か知らないが、この国を属国化したいらしい。
       言葉こそ巧言令色で覆い隠しているが本心など見え見えだ。この国はベルモン国に傘下には降らない」

カルロス  「シャンテカイユ卿は3年前にも1度この国に来ているとの事でした」

シャルル  「シャンテカイユ卿が・・・、大使なら来る可能性はいつでもあるだろう?
       わざわざカルロスにそれを伝えたのか」

カルロス  「卿は、あなたが女性である事を知っています!」

シャルル  「私が?女だと?なんで?」

カルロス  「シャルル様、何故こんな重要な事を私に隠してたんですか?!」

シャルル  「カルロス、待って?何を言いたくて、何の話をしているのか私には判らない・・・」

カルロス  「3年前と言えばシャルル様が心から愛国心の為に自分の性を棄てる、そう言いきった時です!」

シャルル  「そ、そうだけど」

カルロス  「何故?」

シャルル  「何故、って・・・」

カルロス  「何故その決断をする事が出来たのですか?」

シャルル  「え、と、その・・・、ひ、必要とされていたから・・・?」

カルロス  「幼少期から性を偽って育てられながら、その決断がたかが3年前ですか!
       あなたは性を棄てなければならない精神状態にあったからその決断をした!違いますか!!」

シャルル  「精神状態って」

カルロス  「シャンテカイユ卿に辱めを受けた!その一件から男性に抱く恐怖心を持ち女性である自分を厭った!」

シャルル  「やめて!!」

カルロス  「あなたの愛国心という名の決断は、あなた自身の気紛れだったのではないのですか!」

シャルル  「思い出したくない!!やめて!!」

カルロス  「私はこの剣をもってシャルル様に忠誠を誓いました。
       それもシャルル様が男児として生涯をこの国に捧ぐと仰ったからに相違ありません。
       ですが、あなたが女性としての性を棄てきれないのにどうして私があなたへの想いを断ち切る事が出来ましょうか!」



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ノエリア  「ベルモン国大使シャンテカイユ卿」

マルコス  「これは、これはシャルパンティエ国第一王女ノエリア様。
       お美しいとの噂はかねがね耳にしておりますが、噂に違わぬうつく」

ノエリア  「世辞は結構」

マルコス  「・・・っ。たかが大使に過ぎないわたくし目にどの様なお用件でしょうか」

ノエリア  「大使・・・?尖兵の間違いではなくて?」

マルコス  「私はこの国と友好的な同盟を結ぶ為に派遣された身柄」

ノエリア  「傀儡化した国王と、伝統を重んじて現状を認識しない重鎮を懐柔する為に口の達者な大使を送り込んで、
       ベルモン国は隙を狙っているだけでしょう?」

マルコス  「さすが軍事国家シャルパンティエ国は女性であっても手厳しい」

ノエリア  「根拠のない女性蔑視の男が口にしそうな事ね。わたくしは幼少期より兄王太子と同じ教育を受けてきました。
       女性と侮って子を産むだけの雌鶏扱いなさるというなら、相応の対応を致しますけれどよろしい?」

マルコス  「随分と敵愾心をお持ちのようだが、いかなる理由か」

ノエリア  「国際条約でこの国を侵略する事は禁止されている筈」

マルコス  「侵略?大袈裟な事を。私は軍事には携わってはいない」

ノエリア  「わたくしの国の偵察団が御国とこの国の国境に物々しい軍備を確認したと報告があったわ」

マルコス  「国の意向がどの様な物であれ、私にはあずかり知らぬ事」

ノエリア  「無責任な大使です事」

マルコス 「身分が違うとはいえ余りに無礼な物言いは貴国との親交を悪化させますぞ」

ノエリア  「元々、それ程良好な関係ではなかった筈ですわ。
       広大な土地と人数任せの戦力で領土を拡げただけの能無し国家。
       わたくしの国に大してメリットもありませんもの」

マルコス  「この!女狐がぁ!」

ノエリア  「即刻、国境沿いの軍を撤退させなさい!」

マルコス  「ほぉ?さもなくばどうすると?」

ノエリア  「どうも、しません」

マルコス  「どうも、しないのに何故軍を撤退させる必要がある!」

ノエリア  「何かをする時に何かの見返りを求める。蛮族でもないでしょうに、物事の考え方が矮小だわ」

マルコス  「ほぉ、それは随分と高潔な姫君だ」

ノエリア  「当然よ。軍を引きなさい。これに寄って何か鉄槌が下される訳ではないわ。けれど物事には秩序があります。
       その秩序を守らないお国柄というなら、あなたの国はそれまで、という事になるでしょうね」

マルコス  「女如きが執政に口を出すんじゃねぇ!」

ノエリア  「・・・っ!」

マルコス  「あ、がぁ・・・」

ノエリア  「一人で外国に行く事のある状況で護身術一つ身に着けていないとでもお思い?」

マルコス  「う、腕を放せ!」

ノエリア  「あなたとの交渉は全く意味を持たないという事も判りました」

マルコス  「私が、国に帰ったら!速攻貴様の国に全軍投資してやる!」

ノエリア  「備えはあります。ご自由に。元々交易は断つ積もりでいました」

マルコス  「なんだと?」

ノエリア  「わたくしの役目は、シャンテカイユ卿との交渉ではありませんもの」

マルコス  「この国に来た理由は!」

ノエリア  「わたくしは王太子殿下の婚約者ですわ。婚前に国に来ていて不思議な事でも?」

マルコス  「ふ、ふはははは!婚約?結婚だと?!」

ノエリア  「?!」

マルコス  「閨閥が成り立つものか!!はぁーーーーっはっはっはっは」

ノエリア  「何かおかしい事がありまして」

マルコス  「いいや?姫君と王太子殿下の祝福を祈りにでも行ってこようかな?」

ノエリア  「そう、望む言葉は得られませんでしたが仕方ないわ。ベルモン国の前途を祈ってらして?」

マルコス  「お互い様だな。真実を知らぬ憐れな姫君に、祝福を!」

ノエリア  「・・・、頭の悪い大使ね。
      ベルモン国の所存、お父様に報告しておかなくてはならないわ」



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カルロス  「お答えください!私は、一体何に忠誠を誓ったのですか!」

シャルル  「もう、それ以上私の傷に触れないで!」

ノエリア  「殿下に触れないで下さる?カルロス、でしたかしら」

シャルル  「ノエリア」

ノエリア  「少し、シャルル様と話したいの。席を外して戴けるかしら」

カルロス  「私もシャルル様と大切な話をしております。お控えいただきたい」

ノエリア  「忠誠の有無を主君に問う事が大切ですか?控えるのはあなたね」

カルロス  「これは国家の大事に関する事、口出しは無用に願いたい」

ノエリア  「下がりなさい!誰に向かって口を聞いているの?」

カルロス  「・・・っ!」

ノエリア  「そう言えば、先ほどシャンテカイユ卿とすれ違った時に祈りに行くとかなんとか。
       町外れの教会に行って差し上げて欲しいのだけれど」

カルロス  「町外れの教会?」

ノエリア  「飢えた雄狸が何をしでかすか判らないわ。助けて差し上げて」

シャルル  「シェイラが!」

ノエリア  「シャルル様はわたくしと話があります」

シャルル  「けどシェイラが!!」

ノエリア  「あなたが行って何の助けになります?カルロス行きなさい!」

カルロス  「は、はい」



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シェイラ  「天におわします我らが父よ、どうかこの不肖者をお赦し下さい。
       殿下をお慕いしております、どうかお赦し下さい。 ・・・くすっ」

マルコス  「ふーむ」

シェイラ  「誰?!」

マルコス  「なるほど?白磁の肌に新緑の瞳」

シェイラ  「・・・?あの、どちら様でいらっしゃいますか?」

マルコス  「名を名乗らねば教会に立ち入る事は出来ないのか」

シェイラ  「い、いいえ?その様な事はありません。
       では、参拝の方でいらっしゃいますね?」

マルコス  「神、神・・・、か。ふはははは!!そりゃあ!!」

シェイラ  「きゃああ!!な、何をなさるのです!!」

マルコス  「見りゃあ判るだろうがよ!十字架を蹴り飛ばしたのよ!」

シェイラ  「なぜそのような事をなさるのですか!」

マルコス  「神に祈った所で何一つ救われる事などないからだ」

シェイラ  「神を!冒涜なさるのですか?!」

マルコス  「私は神に囚われた憐れなシスターを拝みにきたのだよ」

シェイラ  「何を?」

マルコス  「噂に聞いた通り美しい、漆黒の尼僧服で覆い隠しているなどなんと勿体ない」

シェイラ  「お帰り下さい、あなたの様な不躾で不遜な方に祈る場所などございません!」

マルコス  「そう無碍にするものではない。どうせこの国は終わるのだ。
       土産に何かを貰わなけりゃ割に合わん!」

シェイラ  「お帰り下さい!!不敬にも程があります!!」

マルコス  「抵抗しろ、俺は無抵抗な女には余り興味が無いんだ」

シェイラ  「いや・・・っ」

マルコス  「さあ、この純潔の尼僧服の下はどんな乱れた身体をしているかな」

シェイラ  「いや!!いやああああああ!!」



シャルル 「何を考えているノエリア!」

ノエリア  「今後の事を」

シャルル 「今後の事?・・・っん、んんっ」(シャルルとノエリアキス)

ノエリア  「ん・・・、ふ、ちゅ」

シャルル 「何の、真似・・・」

ノエリア  「わたくしは幼い頃より、結婚する方はシャルル様だと教えられて育ちました」

シャルル  「あなたには、申し訳ない事をした、と」

ノエリア  「いいえ、国の為に必要であればこの秘密、命尽きるまで守ればいいだけの事」

シャルル  「は?」

ノエリア  「ベルモン国は虎視眈々とこの国を手中に収める準備をしております。
       わたくしの国の援護がなければこの国は2日と待たず陥落するでしょう」

シャルル  「ベルモン国が?そんな」

ノエリア  「この国の軍事力の儚さは殿下がご存知の通り」

シャルル 「・・・っけど、私は・・・っ!」

ノエリア  「わたくしが守ります」

シャルル 「そこまでして守るメリットがノエリアのどこにありますか」

ノエリア  「幼心に抱いた恋心を簡単に打ち消す事なんて出来ませんもの」

シャルル 「・・・、それは」

ノエリア  「わたくしはシャルル様をお慕いしております。ただ、それだけ」

シャルル 「けど」

ノエリア  「性別など関係ありません。他を欺く為に必要なら何でもしましょう。
       わたくしは、シャルル様に似た男と子を成しましょう。そして子を成したら男は口封じに消してしまえばいい。
       男児が生まれるまで何度だって繰り返しましょう」

シャルル  「なぜ、そこまでするんですか?」

ノエリア  「守りたいと、思ったのです。あなたもこの小さいながらも緑あふれる美しい国も」

シャルル  「私は、あなたの思いに応える事が出来ない」

ノエリア   「シェイラさんを、心に思っているから・・・」

シャルル  「そうです」

ノエリア  「ならば、シェイラさんを妾妃としてお傍に置きなさい。この国の国王も数々の浮名を流したお方。
      そのお血筋であるシャルル様がそうであったとして誰が異論を唱えましょうか」

シャルル  「・・・っ、教会に行く」

ノエリア  「ご考慮下さい。わたくしは国力を掛けて守れるものが沢山あります」

シャルル  「献身的で健気だと思う。けど」

ノエリア  「教会に行ってらっしゃいませ。わたくしはもう少しベルモン使節団の動向を探ってから参ります」

シャルル  「・・・っ!行って来る」



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カルロス 「シスター!」

シェイラ  「あらカルロス。こんな所で何をなさっているの?」

カルロス 「・・・っ?!血の、匂い?」

シェイラ  「お前は内部から国を壊す為にシャルル様のお傍に控えていなければならない筈よ?」

カルロス 「姉さん、ですが。ベルモン国の大使シャンテカイユ卿がこちらに向かうと。・・・?・・・っ?!」

シェイラ  「あら、この人そんなご大層な身分だったの、知らなかったわ」

カルロス 「こ、殺した、・・・のですか」

シェイラ  「ええ、少し遊んであげたけれど、つまらない男だったわ」

カルロス 「あ、遊んだ?」

シェイラ  「そ。神がいないだの、助けを求めても誰も来ないだの、当たり前の事をしたり顔で言う物だからつい、ね」

カルロス 「何も、殺さなくても」

シェイラ  「いやね。殺そうと思ったんじゃないわ、死んでしまったの。
      手元に燭台があったから引き寄せたら胸に刺さってしまったの。 燭台って、刺さるのね」

カルロス 「なんという事を!」

シェイラ  「神がいないだなんて私が一番よく知ってるわ。こんなロザリオに意味なんてない事も」

カルロス 「ロザリオを引きちぎって踏みつけるなど、シスターにとってあるまじき行為を」

シェイラ  「ふふ、嫌ね。私が下町の娼婦でシスターなんて務まる筈がない事、あなたが一番よく知ってるでしょう?」

カルロス 「改心、されたのではないのですか」

シェイラ  「馬鹿言わないで?男女のまぐわいを棄てて神に仕えるなんて。
      あなた自身も城で王太子の従僕なんて出来る身分じゃないんだから」

カルロス 「生まれが卑しいのはお互い知っての事」

シェイラ  「ねぇーえ?知ってる?国王様は未だに下町遊びを続けていらっしゃるらしいわ?
      自分の気に入った女を手籠めにして放置。その内、町は国王の子供であふれかえるでしょうね、ふふふ」

カルロス 「話を逸らすのはやめにしませんか、姉さん」

シェイラ  「こーんな男の末路を知りたいの?物好きね」

カルロス 「何故、殺したんですか。たまたま、などとあなたにはあり得ない」

シェイラ  「この男の言ってる事が許せなかったのよ」

カルロス 「言ってる事?」

シェイラ  「私達が大切に大切に守ってきたシャルルを穢したんですって」

カルロス 「それは、私もつい先ほど聞きました」

シェイラ  「あの子は大切な正妃の子。そして、私の大切な妹。
      愛しくて愛しくて、可愛くて美しくて壊して滅茶苦茶にして殺したいくらい大切な私の宝物なのよ?
      それを・・・、それをこの下衆が先に穢した、ですって?
      きれいなまま最も惨めで残酷に殺して、国王に見せて復讐とする筈だったのに」

カルロス 「その、こだわりは私には判りません」

シェイラ  「物わかりの悪い子。この国に残っている王室の系図はあの子が最後、それを失えば国は滅びる。
      大切なセレモニーになるのよ?こだわりを棄てて私達の恨みを晴らす事が出来る?」

カルロス 「彼は・・・、マルコス卿は王太子が女である事を知っていました。
      その情報を漏洩させれば国が失墜するのを否めなかった。そういう方法ではいけなかったんですか?」

シェイラ  「嫌よ。なんでそんな大切な役割をこんな下衆にあげなきゃならないの?私達の鉄槌で国は滅びるの。
      その積もりであなたも細い伝手を辿って王室に上がったのでしょう?」

カルロス 「私は」

シェイラ  「ふふ、汚い子。あなたシャルルが好きなんでしょ?確かにきれいな子だもの、判るわ」

カルロス 「この恋慕を叶えようとは思っていません」

シェイラ  「復讐を躊躇っているじゃない。だから男は嫌いよ、信用できない」

カルロス 「彼女は何も知らないのです」

シェイラ  「だからこそよ。何も知らない、穢れも踏み付けられた痛みも知らないからこそ傷付け甲斐があるんじゃない」

カルロス 「復讐は!国王にすればいい!」

シェイラ  「国も道連れよ」

カルロス 「どうしてそこまで!シャルルをこれ以上傷付ける事など私にはできません。
       ・・・、・・・?ん・・・っ、う・・・?」

シェイラ  「何?どうしたのよ。
      ・・・、あらやだ。ふふふ、そう。そういうのもあるわね。もっとシャルルの事考えなさい」

カルロス 「な、何・・・、を・・・」

シェイラ  「うふふ、欲しいでしょう?あの子が、きれいな肌をしているわ、なめらかで。
      華奢で繊細でとても美しいの、触れたいでしょう?」

カルロス 「ね・・・、姉さん・・・、く・・・っ」

シェイラ  「さっきね、この男と遊ぶ時に媚薬を炊いたの。動物の雄にしか効かないらしいわ」

カルロス 「何故、そんな事を・・・?!」

シェイラ  「脳の無い男が女を犯す時なんてちっとも楽しくない。女を組み敷いて腰を振るだけ。つまらないでしょう?
       私だって楽しみたいもの。だからもっと昂揚できるように気分を高めてあげたのよ。
       死の瀬戸際と相俟ってとてもいい時間を過ごせたわ」

カルロス  「・・・、な」

シェイラ  「残り香でこんなに効くなんて、若い男により効果があるのかしら?」

カルロス  「・・・はぁ、は」

シャルル  「シェイラ!」

シェイラ  「なんてベストタイミング。素敵・・・」

シャルル  「ここにシャンテカイユ卿が来ると・・・!乱暴な男だから気になって」

シェイラ  「ご心配、痛み入りますシャルル様」

シャルル  「シェイラその恰好・・・、まさか、もう」

シェイラ  「立てないの、こちらに来て下さい」

カルロス  「あ、姉上」

シャルル 「立てない?どうし・・・っ!!うっ!!これは・・・」

シェイラ  「殺す積もりは無かったの・・・、でも」

シャルル 「・・・っ、シェイラあなたのせいじゃない。カルロス大丈夫か?」

カルロス  「こちらに来ないで下さい!シャルル!!」

シャルル  「一体何があったって言うんだ!・・・っ!!シェイラいきなり突き飛ばすなんて一体」

シェイラ  「そう、しっかり抱き締めるのよ?カルロス」

シャルル  「・・・っ、放せ!カルロス!」

カルロス  「は、・・・、ぁ・・・、シャルル様」

シャルル  「な、に?カルロス・・・、や、やめ」

シェイラ  「もう一人お客様が来そうだわ。邪魔はしないで欲しいわね。
      足止めしなくては。カルロス、しっかりやるのよ?」

シャルル 「離せ!!やめろ!!カルロス!!私は!!
       シェイラ!!!どこに行くんだ!!」

カルロス  「あ、・・・ぅ」

シェイラ  「楽しい時間を、過ごしてね」

カルロス  「く・・・、う・・・。シャルル・・・、様・・・。私・・・、は・・・」

シャルル  「いやだ・・・。なんで?
       いや・・・、いやああああああああああああ!!!!」



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シェイラ  「御機嫌よう、ノエリア様」

ノエリア  「・・・?・・・、こちらに殿下とカルロスが来ませんでした?」

シェイラ  「えぇ、その前にシャンテカイユ卿も」

ノエリア  「ご無事で何よりです。わたくしも教会に入ってよろしくて?」

シェイラ  「ノエリア様に聞いて戴きたい事がありますの」

ノエリア  「わたくしに?なんでしょう?」

シェイラ  「私、本当はこの国の姫なんですよ?」

ノエリア  「そう?国王陛下が大変な遊び好きであるという噂はわたくしも知っております。
       けれどきちんとした教育を受けていらっしゃらない方が姫君を名乗るには余り感心致しません」

シェイラ  「選民意識というやつかしら」

ノエリア  「いいえ?王室の恩恵に預かりたいならわたくしがお口添えしてもよろしくてよ?
       ただ、他国にその名乗りを上げる事は王室の威光に関わる事ですし、その評判はあなたを傷付ける事になるでしょう?
       それに口頭では難しい、何らかの証明が必要です」

シェイラ  「ふぅん、さすがちゃんとした教育を受けたって言いきるだけの事はあるのね」

ノエリア  「少し、無礼が過ぎるのではなくて?」

シェイラ  「私の父親は本当に国王よ。母は下町の娼婦。
       そして私も13の頃から体を売って生きて来た娼婦」

ノエリア  「その罪を贖う為に教会のシスターに?立派な心掛けだと思うわ」

シェイラ  「誰でも褒める事が出来るのね!高潔な王女様は!」

ノエリア  「退いて下さる?」

シェイラ  「嫌よ」

ノエリア  「教会で何かが起きている。
       あなたはわたくしを足止めしたいだけでしょう?そこを退きなさい!」

シェイラ  「じゃあ、私を殺して行けば?」

ノエリア  「・・・?!あなた、血の匂いがするわ」

シェイラ  「シャルルを殺したわ」

ノエリア  「嘘ね」

シェイラ  「頭の回転が早い女性は好きよ」

ノエリア  「あなたは誰かを殺した。でもシャルル様は殺してないわ」

シェイラ  「どうしてそう言いきれるの?」

ノエリア  「その服に染みた血が乾いているからよ!シャルル様がここに来たのはつい先ほどの筈よ!
       その血がシャルル様の血である訳がないわ!」

シェイラ  「それならそんなに焦る事も無いんじゃない?」

ノエリア  「それでもあなたがわたくしを足止めしたい何かが起こっている!退きなさい」

シェイラ  「仕方ないわね、どうぞ」



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ノエリア  「シャルル様!!」

シャルル 「はは、あはは・・・、くふふ、死んでしまえ」

ノエリア  「シャルル様・・・?」

シェイラ  「まぁ、殺してしまったの・・・」

シャルル 「男なんか・・・、男なんか!男なんか!!死んでしまえ!!滅びてしまえ!!」

ノエリア  「おやめください!シャルル様!
       もう、・・っ、もう、カルロスは死んでいます!」

シャルル 「あははははは、あーーーーーーっはっはっはっは!!!」

ノエリア  「シャルル様・・・。・・・っ!!お前が!!仕組んだの?!」

シェイラ  「えぇ、想像したのとはちょっと違う方向に流れたけれど、結果は万全」

ノエリア  「なんて事を!!」

シャルル 「ふひ、ふひひ、アハ」

シェイラ  「こんなに狂っちゃったら性別云々じゃなくて王位継承なんて出来ないわね」

ノエリア  「そんな、こんな事って・・・、しっかりして下さいシャルル様!」

シェイラ  「無理でしょ」

ノエリア  「あなたがいなくて、わたくしは誰に嫁ぐというのです!わたくしは一体何の為に!!」

シェイラ  「ねぇ、まさかと思うけどあなた、女だと知っててシャルルの事好きだなんて言わないわよね」

ノエリア  「お前に!一体何が判る!!
       わたくしは殿下に嫁ぐ為に生きる全てを注ぎ込んで来たのよ!!」

シェイラ  「あら、それは、残念」

ノエリア  「・・・っ、殺してやる」

シェイラ  「・・・、素敵。その憎悪の瞳、なんて素敵なの?
       あなたの様に美しい方わたくしも好きよ」

ノエリア  「殺す!!」

シェイラ  「いいわ・・・、来て」

ノエリア  「死ねえぇえぇえ!!」

シェイラ  「ぅぐ・・・っ!ふふ、うふふ。あぁ、素敵・・・、か・・・、は」

ノエリア  「シャルル様・・・」

シャルル 「ふひゃひゃ」

ノエリア  「こんなお姿を他の誰にも見せる訳には・・・。・・・っ、う・・・」

シャルル 「うぁ、あ・・・」

ノエリア  「愛してました。シャルル様。ゆっくりお休みくださいませ」




ノエリア  「爛熟した木の実はやがて腐敗して地に堕ち、虫の餌食となり朽ち果てる」