色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔いもせず




誠、情緒あふれるお唄にござりんすなぁ・・・
あちきもこの歌を聞きこの歌に学び、この歌に感銘を受けたものでありんす

あぁ、名をお伝えするんを忘れておりんしたなぁ
あちきの名は『竜胆(りんどう)』と申しんす。今後ともよろしゅうお頼み申しんす


さて、ここで語るのはとある花街のお話でございんす
花街、と聞けば殿方は黙ってお頷きになりんしょう。
よもや、花畑のようなものをご想像なされたとは申しますまい?

ここは遊廓。
けんど、皆様方がご存知の島原、吉原、新町の史上に残る遊廓ではござんせん

ちょうど、島原と吉原の真ん中にございんした。
当時はとても栄えておりんしたこの遊廓、名を『若山』と申しんす

作りは京の島原に似て、やはり大門をくぐるとお歯黒溝という堀に囲まれた苦界がございんす
どの遊廓にもそれぞれ物語がございんす
例に漏れずこの若山もそうでありんした

今より語るは、花のように美しく咲き花のように美しく散った苦界の女郎達の話でございんす
中でもとりわけ美しく生き抜いたのは・・・

いえ、今はこの話申し上げるのはよしんしょう。
時があればのちほどまたお話する事もございんしょう。


さて、今宵はいずれの華が咲き、いずれの華が散りゆくのか。
みなさまごゆるりとおくつろぎくだしゃんせ